貧乏暮らしのシンプルライフ

病気持ちのシングルマザーが社会の底辺で生きる日常を語ってます。現在、娘と市営住宅で2人暮らし。貧乏話とシンプルライフの話題が中心のブログです。

メンタル弱ヨワな人間がクレームを聞き続けるとこうなった

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あれは2月の終わりか3月の初めくらいだっただろうか。
私はいつものように働いていて、いつものようにかかってきた電話に出た。
「○○さんいますか?」と言われ、担当者に電話をつないだ。
その時はとても丁寧な口調の常識ある人だと思った。
間もなく、それはクレームの電話であることが分かった。

 

担当者が電話を切って何分も経たずにまた電話がなった。
先ほどのクレーム客だった。
今度は先ほどとうって変わって、攻撃的な口調だった。
早口で攻め立てる。「どうしてくれるんだ、責任をとれ。」
あー、久々に厄介なクレーマーだと思いつつも、この時はまだ他人ごとだった。
対応は担当者がしてくれると思い込んでいたから。
次々と出てくる客の文句を聞きながら、話に入り込むすきをうかがっていた。


今だ!
「担当に変わるのでお待ちください。」
これで私の役割はひとまず終わりだと思った。
するとまさかの返答。
「あの人では話にならないから、あなたが対応してください。」
また元の丁寧な口調に戻っていた。その丁寧さがなぜか恐ろしい。

 

なぜ私なのだ、いちばん下っ端のパートのおばさんにどう責任をとれと言うのだ。
私はひたすら謝り続けた。
「申し訳ございません。○○様のおっしゃる通りでございます。」
同じセリフを何回言ったことだろう。
何も具体的な対応を言わない私に向こうも折れたのか、本社のお客様センターの電話番号を教えろ、ということになり、電話番号を伝えて何とか解放された。

 

いや~、ひどい目に遭ったと、しばしのストレス発散タイム。
同僚にクレーマーの悪口を言いまくった。
そしてふとあることに気付く。
その日は日曜。本社は休みなのだ。当然電話はつながらない。
また電話は店にかかってきた。
もう覚悟を決め受話器をとる。

 

ここから私は小一時間クレーマーの話を聞くことになる。
この会話は録音していると言われ、知り得る限りの尊敬語・謙譲語・丁寧語を駆使し、この場を乗り切ろうと思った。
クレーマーは丁寧な口調だったり、急に声を荒げたりと、先の読めない人だった。
しきりに誠意を見せろとまくしたてる。
誠意って何かね・・・
北の国からの名台詞が頭をよぎる(実際に見たことはないのだけれど)

 

そして途中から私は壊れ始めた。
小学生の頃、とある気弱な男子が担任に激怒され、お説教の途中で気絶したことがある。
それと似たような感じだったのかもしれない。
私は気絶したわけではないが、なんだか自分が自分でないような不思議な感覚。
電話には対応しつつ、私は事務椅子をくるくる左右に動かしながら、メモ用紙に落書きしていた。

 

どのように電話を終えたのかははっきり思い出せない。
ただその日から、しばらく私はおかしかった。

車を運転していても、自分は誰かが運転する車に乗のせてもらっている気がする。
人と話していても、自分はその光景を上から見ているような気がする。
魂が抜けたとでも言おうか。自分であって自分でない、何とも説明しがたい状態だったのだ。

 

それで仕事を休むようなことはなかった。
仕事の時はいつもの仕事モード。
ただプライベートは“無”だった。
仕事モードがオフになると途端に気力がなくなる。
しゃべらないし、笑いもしなければ怒りもしない。
子どもにしてみれば母に何があったのかと不思議だったろう。

 

定期的に精神科に通っているため、医者にこんな状態なんだけどどうすればいいでしょう?と相談してみたが、「さぁ~、どうしたんでしょうかね~。とりあえず様子見ましょうか。」で終わりだった。それが医者のやり方か。

 

半年ほどフワフワと宙をさまよいながら暮らし、ようやく魂が身体に戻ってきたような気がする。
興味がなくなっていた映画やドラマも見るようになったし、笑ったり怒ったりするようになった。
今回の不思議体験は、何か身を守るためのスイッチが入ったのかもしれない。防衛機制の一種なのか?
コイツの精神はこれ以上のストレスには耐えきれないから、魂抜いとこう!みたいな。でももう2度と経験したくはない。